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福井うまれ・土倉倍人(ばいじん)「下草を焼きて新懇(にいはり)のまだら雪渇きて食えばけむり臭しも」
下草を焼いて開墾する春の野の光景を詠んでいる歌人は一息感覚で斑状の雪を口に入れ野焼きの匂いを感じとっています
浦幌町うまれ・舟橋精盛「降りこめし雪ふかぶかと物音吸ひ夜の地表にひびく音なし」
降り積もった雪だけが地上を占拠している中でしんしんと、物音を吸い込み深ぶか感覚を抱く一首です
樺太生まれ・大塚陽子「七月生まれわれはひまはり陽を追ひて向きて七月のわれはひまはり」
歌人自身の生まれは七月ゆえに愛するものの光に照らされて太陽に向けて燦然と輝くひまわりの如くいつもいられる心をずばり詠んでいます。
岐阜生まれ・野原水嶺(すいれい)「朱の落輝野火あとの空そのままにけぶれり十勝はばくばくとして」
北の律動には雄大な十勝を題材にした一首が多く、今回も十勝平野題材に野火が燃える如く赤々と沈んでゆく
太陽の光景に圧倒されます
音更生まれ・寺師治人「偶然のもののごとくに轟きて春雷は這ふ十勝川の上」
春雷が轟き陽光が這う十勝川の光景に偶然出くわした歌人の感性がにじんでくる一首ですね
留萌生まれ・小田哲夫「陽の当たる海かげる海感情を微妙に変えて時間過ぎゆく」
海を眺めている歌人の心模様が微妙に揺れ動くと供に海に陽があたりそして陰っていく変化をみてとれる。
神奈川生まれ・橋本徳寿「がたんごとん夜をゆく汽車に膝さむし幌糠fといふ十勝川の上」
はるばると出かけてきて、がたんごとんと夜汽車が十勝川を進みホロヌカ駅に停車して膝の寒さを感じる心情!