ほっかいどうの短歌 アーカイブ

2014年3月 3日

三十一文字シリーズ完了して

旭川文学資料館http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/bunkashinko/bunkashinko/literary-museum/literary-museum.html
市立小樽文学館http://otarubungakusha.com/yakata
北海道歌人会http://www.city.sapporo.jp/shimin/bunka/dantai/d_0959.html
北網圏北見文化センターhttp://business4.plala.or.jp/bunsen21/
星の降る里百年記念館http://www.city.ashibetsu.hokkaido.jp/hyakunenkinenkan/hkanri/1

2014年3月 2日

ほっかいどうの短歌100首その99・100

三十一文字が紡ぐ北の律動最終項目です。
99首は、新潟生まれ・水口育代「羅臼峠新道ひろく明るくて国後島まこと近し夏陽に」
北方領土返還運動にロシアと日本、それぞれの最高権力者と同じ土俵で会話する親密度に明るさを覚える当節
です。夏の太陽が照りつける頃にクナシリの距離み近くなればいいですね
100首は、群馬生まれ・土屋文明「納沙布の岬の方は低くして海が見え択捉島が淡々と見ゆ」
99に続き北方領土返還運動に明るい光期待したい思いですね

2014年3月 1日

ほっかいどうの短歌100首その96・97・98

札幌・矢島京子「ひたひたと湿原浸す水なべて輝かむとす風連湖いま」
白鳥の飛来をまもなくの風連湖へ根室湿原を経由して氷がひたひたと流れてくる様子伝わる一首です。
滝川・田村哲三「あまくさの寄りて乾けるトドワラの渚どこまで踏みごたえなし」
トド松林に海水が沁みこんで塩分を含む野付半島で見受けるトドワラの渚は乾いています。浜茄子や黒百合が咲いている光景に風情を覚えます
東京・斎藤史「われはいま植物色の管楽器夏花の野に吹きさらされて」
様々な夏花の色はあたかも管楽器が野におおらかに吹きならされているように感ずる

2014年2月28日

ほっかいどうの短歌100首その94・95

岩手県・小田観螢(かんけい)「火口原摩周湖暮れて永劫を鳴らすと銅鑼の月懸かりたり」
未来永劫の時を告げる銅鑼が摩周湖の天空に響きわたる光景を歌人詠んでいます
滝川市・川村濤人(とうじん)「赤き月底に沈めて摩周湖はカルデラ壁のかべふかきしじま」
摩周湖へ臙脂(えんじ)色の月が静まり返るj湖底に沈んでいく様子を歌人詠みきっています

2014年2月26日

ほっかいどうの短歌100首その93

鷹巣生まれ・中山勝「とほく旅を来しかばここに見えつらむ鶴のうからの束の間の舞」
釧路湿原にはるばる旅をして来た歌人は鶴の見事な群れ立つ舞の見事さにそれが束の間であっても脳裏に焼きついて離れない

2014年2月25日

ほっかいどうの短歌100首その91・92

宮崎・若山牧水「ひとつらに並び流るる網走のその川口の真白きごめは」
宗谷オホーツク、北国に生きる人への旅情を思う歌人の感性が滲みでていいなぁ~
旭川・細川晋一「ひたひたと潮の満ちゆく湖岸にはオオハクチョウの羽毛を拾ふ
釧路・根室~別海町の風連湖辺りには毎年オオハクチョウが飛来してその光景は美しく神秘であると歌人、詠みあげています

2014年2月23日

ほっかいどうの短歌100首その90

東京・川田順「天塩岳に雲沈み来る日のくれを北見の国の鉱山(かなやま)に居り」
はるばると、いま歌人は北見の鉱山に雲が沈んで棚引く天塩岳の夕暮れの中に居る

2014年2月22日

ほっかいどうの短歌100首その89

山形・村田豊雄「原生花園にひとりのわれを降ろし去り視野消ゆるまでバス一直線」
網走から北浜にいたる沿線の一直線に視界から完全に消えるまでく植物の群落が咲き見事で壮観でありはるばる
出かけてきた思いに感慨を覚える

2014年2月20日

ほっかいどうの短歌100首その88

札幌・中山周三「氷海(ひょうかい)をしりへに帰る丘のみち人見かけねば馬なりと出よ」
流氷が押し寄せている海を背後に歌人は家路につく丘の道には人影が見えず馬でも良いから出てきて欲しい心情
が伝わる一首です

2014年2月20日

ほっかいどうの短歌100首その87

東京・猪股泰(いのまたゆたか)「ポロ沼はこほりて雪を被れどポン沼いずこ汽車にすぎゆく」
オホーツク海に面したポロ沼は見事なまでに凍結し雪が降ると一寸先され距離感覚が消え、その中を走る汽車で旅する歌人の心境です

2014年2月19日

ほっかいどうの短歌100首その85・86

札幌・中山信「間宮林蔵渡樺の地にて見ゆるもの遠き浅瀬につづきゐる海」
宗谷岬から樺太を望んでいる間宮林蔵の心境が伝わる一首に先人の雄大な思い重ねます
樺太間岡町・石岡草次郎「何もかも忘れて海の一線に消えるロシアへまぶたを閉じる」
日本から今はロシア領土になっている樺太を詠んだ一首には脳裏を離れることの無い我がふるさとへの感慨ひとしきり。

2014年2月17日

ほっかいどうの短歌100首その83・84

山形生まれ・斉藤茂吉「さ夜なかと夜は過ぎつつ志文内(しぶんない)の山のうへ照らす月の影のさやけさ」
志文内で村医をしていた次兄・富太郎を訪問した茂吉が清らかに澄んでいる地の月を見ての感慨深さですね!
茂吉の兄・守谷富太郎「うつそみの業をいそしみ深山べにかそけくも我老いて行くべし」
志文内~ちちぶべつ~など僻地の医師として晩年、北見で開業した歌人の心境を覚えます

2014年2月15日

ほっかいどうの短歌100首その82

福島生まれ・木村隆「天塩なる中川の地に年々に集ひて人は茂吉を慕ふ」
斉藤茂吉を偲んで短歌フエスティバルを実施している天塩の中川町を舞台にした一首です。茂吉を追慕する短歌愛好家の思いが伝わります

2014年2月14日

ほっかいどうの短歌100首その81

福井うまれ・土倉倍人(ばいじん)「下草を焼きて新懇(にいはり)のまだら雪渇きて食えばけむり臭しも」
下草を焼いて開墾する春の野の光景を詠んでいる歌人は一息感覚で斑状の雪を口に入れ野焼きの匂いを感じとっています

2014年2月12日

ほっかいどうの短歌100首その80

浦幌町うまれ・舟橋精盛「降りこめし雪ふかぶかと物音吸ひ夜の地表にひびく音なし」
降り積もった雪だけが地上を占拠している中でしんしんと、物音を吸い込み深ぶか感覚を抱く一首です

2014年2月11日

ほっかいどうの短歌100首その79

樺太生まれ・大塚陽子「七月生まれわれはひまはり陽を追ひて向きて七月のわれはひまはり」
歌人自身の生まれは七月ゆえに愛するものの光に照らされて太陽に向けて燦然と輝くひまわりの如くいつもいられる心をずばり詠んでいます。

2014年2月11日

ほっかいどうの短歌100首その78

岐阜生まれ・野原水嶺(すいれい)「朱の落輝野火あとの空そのままにけぶれり十勝はばくばくとして」
北の律動には雄大な十勝を題材にした一首が多く、今回も十勝平野題材に野火が燃える如く赤々と沈んでゆく
太陽の光景に圧倒されます

2014年2月 9日

三十一文字シリーズう77番

音更生まれ・寺師治人「偶然のもののごとくに轟きて春雷は這ふ十勝川の上」
春雷が轟き陽光が這う十勝川の光景に偶然出くわした歌人の感性がにじんでくる一首ですね

2014年2月 8日

三十一文字シリーズう76番

留萌生まれ・小田哲夫「陽の当たる海かげる海感情を微妙に変えて時間過ぎゆく」
海を眺めている歌人の心模様が微妙に揺れ動くと供に海に陽があたりそして陰っていく変化をみてとれる。

2014年2月 8日

三十一文字シリーズう75番

神奈川生まれ・橋本徳寿「がたんごとん夜をゆく汽車に膝さむし幌糠fといふ十勝川の上」
はるばると出かけてきて、がたんごとんと夜汽車が十勝川を進みホロヌカ駅に停車して膝の寒さを感じる心情!

2014年2月 7日

三十一文字シリーズう74番

香川県・山名薫人「この谷の底ひに冷ゆる陽の色の青白くしてこぶし咲くなり」
陽の光が底の方まで差し込んでいる谷を見下ろす歌人は冷え冷えと青白く輝く中に北辛夷の花盛りを認めています。歌碑のある南富良野金山湖展望台に今一度出かけたくなります

2014年2月 6日

三十一文字シリーズう73番

長野県生まれ・島木赤彦「真向かひの十勝が獄の名を知らぬ夫婦を伐れりこの森の中」
斎藤茂吉の起こしたアララギ派の短歌結社 後継者島木赤彦が詠んだ一首は~真向かいに見える十勝岳の名前を知らぬまま、ただひたむきに森を伐ってる夫婦連れのに着目。

2014年2月 5日

三十一文字シリーズう72番

新潟生まれ・江口源四郎「十勝峰を広ら望める岩山にあふぐスロープに人影小さし」
広々とした十勝岳の峰を見通す岩山を仰ぐと太陽の明るさと対比してスロープを上がる人は小影は小さい

2014年2月 3日

三十一文字シリーズう71番

徳島生まれ・西川青濤(せいとう)「ひむがしの空の

高処に火を抱く十勝は父とわがあふぐ山」

◆十勝岳が東の高い処で火を吹き聳えている

父なる如く私たちがいつも親しみを持ち振り仰ぐ山!

2014年2月 3日

三十一文字シリーズう70番

新潟生まれ・宮柊二「大雪山の老いたるきつね毛の白くかはりてひとり径を行くとよ
歌人の故郷と同じ大雪山における冬の厳しさの中を、老いたる狐の孤独な寂しさの極みと捉えています

2014年2月 2日

三十一文字シリーズ69番

旭川・三浦綾子「相病めば何時迄続く幸ならむ唇合せつつ泪(なみだ)こぼれき
あなたともに肺を病んでいて何時迄二人の愛が続くのかと思い募りいとしいなるがゆえにそっと口付けをしてしまい泪とまらない。儚くもやさしい歌人の心情伝わります

2014年1月31日

三十一文字シリーズ68

旭川生まれ・前川正「笛の如く鳴りい居る胸に汝を抱けば吾が寂しさの極まりにけり」
三浦綾子に一首の世界を薦め、自ら肺疾患で夭折した歌人は、肺病に侵され笛を奏でる様な細い息をして吾が胸に抱きしめられ、耐えられない悲しみの極み詠んでいます

2014年1月30日

三十一文字シリーズ67

深川生まれ・小林孝虎「まひるまの幻聴として山鳩のかなしむこゑを心処に聞く」
物音消えた真昼j間の一瞬に山鳩の悲しい鳴き声はまるで幻聴を思わせた感覚の如く聴こえる

2014年1月30日

三十一文字シリーズ66

福井生まれ・さかひひろじ「腹裂きし厨の鮭が荒波にまみれしままに雪きたる前」
明日は雪になるのだろうかと思いながら腹を裂き荒塩を仕込み塩びき作る厨の冷え込む光景を詠んでいる一首

2014年1月29日

三十一文字シリーズ65

長野県生まれ・斎藤りゅう「雪の下にぼんぼん時計なりいでぬ雪おろしやめて聞きにけるも」
大きな柱時計のことを(ぼんぼん時計)といい秋田にある100年以上、父の生家引き継がれている音を連想します
雪下ろしの光景とともに・・・・

2014年1月28日

三十一文字シリーズ64

京都生まれ・九條武子「たぎつ波真しろう白う岩に散る神居古潭のくもれる真昼」
神の住む集落、神居古潭(カムイコタン)は旭川西部にある石狩川上流の渓谷です。岩に当たり砕け散る波の飛沫(しぶき)を詠んでいます

2014年1月26日

三十一文字シリーズ63

福岡うまれ北原白秋「一巳の屯田兵の村ならしややに夕ずくこの眺望を」
深川市一巳町の丸山公園に一首の歌碑あり、一巳(いっちゃん)を拓いた屯田兵と想定し夕暮れの眺望の雄大さを詠んでいる

2014年1月26日

三十一文字シリーズ62

滝川市生まれ・樋口賢治「馬そりの跡もあらはに流れきし氷橋は岸に触れて過ぎゆく」
氷橋(すがばし)と読むことを知って一首詠んだ歌人の気持ち理解できた思いです。氷の張った河川・湖沼の上に柴を敷き馬や人が通行できる様にした臨時の橋。空知川と馬橇の組み合わせた光景です

2014年1月25日

三十一文字シリーズ61

芦別・細谷徹之助「宿の背のこぶしは白き花もてり峡(かい)鳴き渡る今朝の郭公 」
山峡を渡って来た郭公の声が辛夷咲いている宿泊した宿の背後に咲き誇り耳を澄ますと心地よく響いてくる

2014年1月24日

三十一文字シリーズ60番目

石川県生まれ・西村一平「六里をばこれよりかへる橇(そり)の鈴ふけし部落の星空に鳴る」
北海道生まれの馬「道産子(どうさんこ)は農耕や運搬に用いられ広大な地に大活躍しており一首は、六里の道を帰路として馬橇に付けた鈴の音が、夜更けの星空に響きわたる様子です・・・・

2014年1月23日

三十一文字シリーズ59番目

奈井江町生まれ・北口年夫「ひたむきに規模拡大に専念し老いゆく農の一人か我も」
高齢化の時代における農業の未来を大正生まれの歌人が予見されています。農業政策に伴いひたすら大規模農業を目指してこられた思いに頭下がります

2014年1月22日

三十一文字シリーズ58番目

新篠津村・大平忠雄「冬の季残り少なくなりし野に降りたる雪が素直に白し」
今回は早春の野に舞い降りた一陣の雪の光景。まだらになっている冬の終わりかけの野において純白そのままの様子はなんと北海道はでっかいどうの思いです・・・

2014年1月21日

三十一文字シリーズ57番目

秋田生まれ・渡辺直吉「つづらをり過ぎて展(ひら)くる眺望に秋日かがよふ馬追原野」
九十九折の如く見える丘をすぎると眺望が一気に開けて秋の日に輝く馬追い原野が広がっている

2014年1月20日

三十一文字シリーズ56番目

ニセコ生まれ・小森利夫「石狩川の濁り押したる湾が見ゆ厚田へ越えむ低き峠に」
日本海の厚田を望む湾が見える峠の下りから上がりに到達した時に石狩川の濁りを押し出していく光景を詠んだ一首。

2014年1月19日

三十一文字シリーズ55番目

愛媛県出身・田辺杜詩花(としか)「堆積したる泥ながしつつ大河の海に入りゆくときも声なし」
北の大地を縦断するかの如く、流れる石狩川の光景を見つめていると、堆積した泥までも流しつつ黙々と自然の営みの行き着く日本海は雄大其のまま・・・・

2014年1月18日

三十一文字シリーズ54番目

旭川生まれ・竹村まや「石狩の平野はろばし拓き来ておや果てにつつ子孫住みつく」
私たちの祖先がはるばると石狩のに入植し、様々な苦労を重ねた地に住み着いて暮らす感慨込めた一首です!

2014年1月17日

三十一文字シリーズ53番目

江別・伊藤音次朗「石狩の原に一すじ雪のみち晴れりや馬橇の鈴がつづいた」
私が住んでる札幌西野から時折一直線の先にある広々とした石狩平野へ出向く光景に今回の一首重ねて鑑賞。
雪の道を馬橇の鈴音。半世紀前を彷彿再現です

2014年1月16日

三十一文字シリーズ52番目

浦臼・宮之内一平「わが涙土に沁みこむ父・母の生まれ故郷の土に沁みこむ」
走馬灯の如く父母への思いが広がって今自分自身において悲嘆にくれて流す涙は両親ともども故郷の土に沁み込んでゆく。「故郷は遠くにありて思うもの」という言葉連想の自分に気づく。

2014年1月15日

三十一文字シリーズ51番目

青森出身の山川三木子「うたかたの今日を持ち越す明日ありて春泥に散る雪の白さや」
春の泥濘(ぬかるみ)の上に淡雪が舞い落ちて泥が純白にした光景を認め儚く泡の如く消えてい様子は、我が人生に置き換える矢張り悲しい。

2014年1月13日

三十一文字シリーズ50番目

室蘭生まれ・手塚義隆「灯りの街のめぐりに凪(なぎし)海ひろく白夜とも思ふ雪の歳晩」
まるで白夜と見粉うばかりに街の灯りは赤々と、海に目を転ずるなら凪いでいる。大晦日に雪が静かに天から降りてくる。

2014年1月13日

三十一文字シリーズ49番目

札幌・亀村青波(せいは)「コスモスのしぼんだ庭に露受けて片羽の蝶 死んではいけない」
晩秋の頃に片羽の蝶が秋の露を受けてしぼんだコスモスと波長を合わせるが如く死にかけている光景を口語歌、好んだ作者の心情は死んではいけない、もっと強く生きるんだと、語りかけている◆一首の世界を始めた動機は中屋敷歩さん、100首UPされるの楽しみにと、直メール頂いたのが源です。ありがとうございます、続けます

2014年1月12日

三十一文字シリーズ48番目

札幌・宮西頼母(たのも)「チモシーの禾積(にお)つみ終えし土手のうへ石狩川は波立ちて見ゆ」
人生の流れを感ずる耽耽として流れる石狩川の波の合間に藁がつまされた土手が見える感慨が伝わる

2014年1月11日

三十一文字シリーズ47番目

屯田兵の子孫・吹田晋平「村を拓きし屯田本部の跡どころこぶしは咲けり朝の日ざしに」
北辛夷が咲いている北海道開拓に日夜働く屯田兵の住んでいた兵舎本部跡に朝の陽射しを際立たせ春の様子に
通じます。

2014年1月 9日

三十一文字シリーズ46番目

鹿児島生まれ・山下秀之助「牛乳馬車通り過ぎたる舗道にはアカシア小花こぼれて止まず」
ふと舗道を見たらそこにアカシアの小花が散って溢れるように散って無残な思いを抱く牛乳を積んだ馬車との対比を通じ北国の情景を捉える

2014年1月 9日

三十一文字シリーズ45番目

鶯笛真久(うぐいすぶえ・まひさ)「魚の眼の涙はわからぬ水の中手に伝わる冬の水温」
北海道の冬の厳しさを詠んだ一首です。魚は涙を流すのだろうか歌人の名前・鶯笛の響きならではの視点が面白い。冬の水の中の感触を見事に表現しています

2014年1月 8日

三十一文字シリーズ44番目

利尻生まれ・鈴木杜世春「くさぐさのことばのなかのただ一語信じることも地獄なるべし」
信じる言葉を探すことの難しさを詠んでいます。あまりにも沢山の言葉が世の中に氾濫しており、あたかも地獄で
至難の業ともいえる言葉を求めるのは如何なのでしょうか!

2014年1月 6日

三十一文字シリーズ43番目

深川生まれの白山友久「宇宙花(コスモス)は心に生きて人の世の花火美しと見上げてゐたり」
コスモスの花の美しさを思わせる整然と並べられて打ち上げられる花火の打ち上げるたびに見物する人たちの心が活き活きとし続けます。

2014年1月 5日

三十一文字シリーズ42番目

新潟生まれ・宮田益子「いのち希薄になるまで朱く鬼げしの花もえながら夏ゆかむとす」
今年の夏も朱く燃える様な鬼芥子の花が咲き誇る光景を目にするならば命が希薄になっていく思いとともに夏の終わりを覚える。

2014年1月 5日

三十一文字シリーズ41番目

相良義重(さがらよししげ)藻岩山での一首「霧去りて雫したたる笹の葉に高山蝶が来て羽たたむ」
高山蝶やオオムラサキが飛んできて霧が晴れ雫の残る藻岩山の笹に羽を畳んでいる様子を捉えています。

2014年1月 3日

三十一文字シリーズ40番目

赤平生まれの医師・平松勤「こよひ食ふ氷下魚(コマイ)の腹より海老の出づ氷の下もやすからなくに」
氷の下でも生存競争激しい様子を詠んでいます。今宵食べた氷下魚の腹から海老が出てくるなんて信じられません。

2014年1月 3日

三十一文字シリーズ39番目

吉植庄亮 氏の父はひまわりの里北竜街の開拓者「真駒内の街道を来る馬車一つ馬にまかせて人は眠れり」
乗り手は街道を馬に任せたままはしらせて自分は眠りこんでいる。なんとも長閑な光景です。真駒内に続く国道の今では信じられません!

2014年1月 2日

三十一文字シリーズ38番目

2014年の午年 初一首・土谷重朗「アカシアの終わりの花も過ぎたりと厨(くりや)に妻が手を休めいふ」
厨房にいた妻がアカシアの花の終わりを見つつ、いよいよ本格的な夏の到来を予知するがかの様に料理つくりの手休めます。

2013年12月31日

三十一文字シリーズ37番目

午年開始2014。吉井勇「家ごとにリラの花咲き札幌の人は楽しく生きてあるらし」
ライラックが6月のサッポロの街に咲き始めると季節感あふれて北国の生活に明るさをもたらせます

2013年12月30日

三十一文字シリーズ36番目

2013年の大晦日・長野生まれ太田青丘「狸小路のとあるボックスに妻とあぐるサッポロビールからりと音す」
妻とかちんと音をたて乾杯した狸小路のサッポロビヤホールのボックス席の光景が目に浮かびます。一首シリーズ
午年に続きます

2013年12月30日

三十一文字シリーズ35番目

ジンギスカンを題材に、小樽生まれの茂木健太郎「奥蝦夷の旅終えて来し札幌にジンギス鍋の煙が目に沁む」
北海道内をぐるり旅して札幌に着いて街に懐かしいジンギスカンの匂い漂いすかさずたべるとおいしい煙が目に
沁みてくる。

2013年12月29日

三十一文字シリーズ34番目

親戚ではありません!石狩・横田庄八「地下鉄をおりて間近き雪原を何とはなしに歩きたき朝」
暴風雪がひと段落した2013年12月29日の日曜日、東京から息子夫婦と孫の4人帰省します。一首は、朝に地下鉄を降り駅に続く道を歩いている様子を詠んでいます。札幌なら地下街歩道ならぬ大通公園の路かもしれません!

2013年12月28日

三十一文字シリーズ33番目

夕張生まれ・村上白朗「ながかりし戦後の空と思ふにぞテレビアンテナの上の鳩二羽」
家庭に長かった戦争の終わりを告げてテレビ画面に様々な悲喜こもごもニュースが届く。今では見受けられ無なっ
ているテレビアンテナに平和象徴する鳩がとまっている

2013年12月26日

三十一文字シリーズ32番目

今は皆無な、小国孝徳(たかのり)が詠む「馬糞風の吹く道妻とならびゆくかたみに異なる候補支持して}
馬糞が春の雪解けとともに粉塵の如く街なみに舞い上がる札幌の名物を一首の題材にした作者の視点にユーモア心を覚えした。選挙へ夫婦ともども出かけ、投票する候補者の違いあれども夫婦の機微は変わらない!

2013年12月25日

三十一文字シリーズ31番目

大正~昭和の歌人・薄井忠男「群れ飛べる鳩に遅るる一羽あり降りくるときもいたく不器用にて」
大通公園に出かけると平成のいまでも人間に慣れ親しんだ鳩の群れに出会います。その中には人間社会と同様な落ちこぼれて不器用な鳩がいます。作者自身の人生を重ねた一首かな。

2013年12月24日

三十一文字シリーズ30番目

今、大通公園ホワイトイルミきれいですが、太田瑞穂の詠む夏「札幌の大路の末の夏がすみ広野と思ふ野のみゆるなり」
大正時代の大通公園を詠んでいる一首に時代の流れを感じます。夏霞が大通公園のはずれにありその先に広びろとした原野の光景。その様子は紛れもない広い野

2013年12月23日

三十一文字シリーズ29番目

道庁を詠んだ・土岐善麿の一首「道庁のあかき煉瓦のさびしきがいきなり胸に塊となる」
開拓時代を思わせる如く赤レンガの開拓使庁舎を見ていると昔を偲ばれて胸が熱くなってきます。概観はともあれ一歩館内に足を踏み入れるならばなおさらの思いに至ります。

2013年12月21日

三十一文字シリーズ28番目

近藤芳美の詠んだ時計台「常にして一つの塔に鐘の鳴るさびしき街か夜のふぶきに」
天候に左右されず晴れの日も吹雪のときも時計台の塔に据えられた金は鳴り続けて街ゆく人の心に響きます。

2013年12月20日

三十一文字シリーズ27番目

りんごを詠む、佐藤佐太郎「林檎さくところを行けり紅に白まじはりて日に照らふ花」
太陽に輝く林檎・果樹園を歩いていると、紅色の花と白色の花が混じりあって一面に広がっている。りんごの暖かな気持ちが伝わって来そうな一首です

2013年12月19日

三十一文字シリーズ26番目

帯広生まれの女流歌人・中城ふみ子「冬の皺よせゐる海よ今少し生きて己の無残をみむか」
「乳房喪失」を黄泉乳がんで夭折した作者は、冬の石狩の海の渚に押し寄せる白い泡を認めて病苦に悩む己が姿重ね合わせています。短い時間を命ある限り懸命に生きつつ自分の無残な人生みつる姿勢うかがえます

2013年12月17日

三十一文字シリーズ25番目

並木凡平「廃船のマストにけふも浜がらす鳴いて日暮れる張碓の浜」
口語歌に徹したという道内において・新聞記者として取材し詠む歌人ならではの一首。廃船マストにとまる浜烏の様子を捉え日暮れゆえ寂しいさが見事に伝わります

2013年12月15日

三十一文字シリーズ24番目

定山和尚を青山ゆきじが詠む「豊倉の流れに添うて定山が袈裟掛け憩うた岩顕(たち)光る」
定山渓温泉を明治の始め朝里峠を越えて豊平川の奥に温泉を発見。定山和尚が水浴したときに袈裟を掛けた岩がある光景のなかにこそ現在における札幌奥座敷に出かけた気分に横田なります。

2013年12月12日

三十一文字シリーズ23番目

運河を詠む、池田町生まれ・増谷龍三「るいるいと伝馬の墓を連ねたる夜の運河より春は匂い立つ」
古くは郵便や物資の輸送に頻繁に使われていた伝馬と同じ感覚の鉄道馬車があった時代の一首です。お勤めを終えた伝馬に使われていた馬たちの墓がるいるいと続く道の先にある運河方面に高く聳える煙突が見えており春の匂いが運河に立ち上がっているようです。

2013年12月 9日

三十一文字シリーズ22番目

群馬県出身・小樽に移住、戸塚新太郎「森にひそむかの妖精もいでて遊べ木もれび羊歯の葉の上」
羊歯の上に木洩れ日の陽が動いている神秘てきな動きが目に浮かび楽しい光景を作者詠んでいます。森に潜んでいる妖精に逢いたい気持ちします

2013年12月 6日

三十一文字シリーズ21番目

宮城県生まれ高橋和光の一首「余市川茜うつせる水の面静かに動く漁船のへさき」
漁船が静かに余市川を登って来る頃、茜が差し込み始め舟のへさきに灯りが差し込む様子に微笑みこぼれると、
詠んでいます

2013年12月 6日

三十一文字シリーズ20番目

違星(いぼし)北斗「その土地のアイヌは皆死に絶えて、アイヌのことをシャモに聞くのか」
シャモは・和人。アイヌウタリ自身が自分たちのことを知らずして和人=日本人にアイヌの死に絶えていく歴史を聞いてどうするんだ、というアイヌ人の文化を守るためにはアイヌ人がまず自覚して団結が肝心だと作者は詠んでいます。百人一首の世界残すところ八十。

2013年12月 2日

三十一文字シリーズ19番目

真狩村・市川守国「時雨くるニセコの山に尻向けて牛はおのおの位置をうごかず」
実に雄大な景色です!時雨の降る季節にニセコ連峰の広がりの中で黙々と牛の群れは微動だにしないで餌を食む。その尻はでっかいどうは北海道にふさわしくニセコ連峰に尻を向けている。

2013年12月 1日

三十一文字シリーズその18

稚内生まれの北見惇吉「秋ふけしニセコ連山晴れながら薄霞なびく雪ちかくも」
2013年師走入しました。寒いです。現実のニセコ連峰雪景色です。短歌の世界は山並みは晴れているけれど、
薄くかすみが棚引いてい冬模様の中で、そう遠くない雪をまっている様子を作者詠んでいます。100首鑑賞まで
残り82。

2013年11月27日

百首鑑賞まで残り83

芥子澤(けしさわ)新之助が詠んだ・襟裳岬「いそ村は夕べたゆたふ汐あかりさかなをさげて女のぼり来」
潮に光の指して明るむ襟裳の磯辺にる村の夕暮れに魚を下げた女が静かに登って来る様子が目に浮かびます

2013年11月26日

三十一文字が紡ぐ北の律動その16

栗の葉を題材にして「風の夜を傷み失せしや栗の葉の吹かるるままに地を擦る音す」宮口良朔
栗の葉が地をする様子を捉え、頻りに風の吹く夜、作者は自分自身の体の痛みが少しづつでも和らいでいけば善いと念じて栗の葉の音を耳に残している!?

2013年11月24日

北の律動その15

明治34年~平成一年、故・宮崎芳夫「球形タンク時折光る石油基地見下ろせば遠く郭公が鳴く」
苫小牧の歴史を見つめる作者の人生を重ねて音読してみました。苫小牧石油コンビナートは苫小牧港に林立しています。その球形に陽があたり遠くで郭公が鳴く。その様子を詠む歌人の視点は「でっかいなぁ~」と驚きの声だすのみの小生からすれば見事に尽きます

2013年11月22日

三十一文字が紡ぐ北の律動100首その14

結核療養の中で成田れんこ詠んだ「霧のやうに汗を吹く身を秋に置きてんとう虫の一点の座標」百首まで86です
てんとう虫がじっと動かない秋・病臥にある作者も動くことはできない。霧のように汗を吹くが如く・・・・


2013年11月21日

三十一文字が紡ぐ北の律動100首その13

神奈川県生まれ・田中章彦ぎ雉を題材に詠んでいる「このゆふべ澄みて透れる雉の声吾の吐息に合わすごとくに」
なんと静麗な声で澄んような気持ちにさせる雉は穏やかに春の夜の時を刻んでいると捉えています

2013年11月21日

三十一文字が紡ぐ北の律動100首その12

有珠を詠んだ「海もよし山もうつくし人もよしほんに住みよき有珠コタンかな」作者・向井(バチュラー)八重子。
アイヌ民族である作者が英国宣教師の養女となり、布教に努めながら日本語を短歌の形式通じて悲しみや怒りなどの思いをこめている。故郷有珠のすべてが皆美しく住みよいことだの思い伝わります


2013年11月19日

三十一文字が紡ぐ北の律動100首その11

「さざなみのさやぎ清しき湖の村わがみおや(御親)らは良く生きにけり」地元洞爺湖生まれ安住尚志(たかし)一首
さざなみがさわさわと音を立てながら打ち寄せる洞爺湖の湖畔景色を詠んでいます。村の歴史を紐解くならばご先祖の開拓にかけた労苦の上に今がある。感謝の意が伝わります

2013年11月18日

短歌が紡ぐ北のリズムその10

与謝野晶子「山畑にしら雲ほどのかげろふの立ちて洞爺の梅さくら咲く」洞爺湖の光景を詠んでいます。
夫・寛とともに昭和6年5月来道。梅と桜が同時に咲く花見時の状況です。北国の百花繚乱をうたいあげて洞爺湖巡りを楽しむ様子垣間見る思いします。


2013年11月17日

三十一文字が紡ぐ北の律動100首その9

江差追分ワールド「歌棄の浜辺もみせぬつゆ曇 追分のうたこころにたぐる」秋田県生まれの大沼すみの作品!
つゆ曇の空を眺めていると追分の歌を思い起こす。歌を棄(すつ)浜辺の寂しさは追分の歌を手繰り寄せている。

2013年11月15日

三十一文字が紡ぐ北の律動100首その8

「見おろしの函館山を照り残し海峡の霧に入日は落ちぬ」館山専一が詠んだ函館山の情景です。
横田40数年前のころ5年間、大門にあった函館映劇に勤務していました。スガイ興行へ勤務して初の転勤先です。
◆函館山から津軽海峡を見下ろすと夕べの照り返しとともに立ち込めた霧に入日が落ちてゆく。青函連絡船で私は、青森まで!結婚を約束していた現・かみさんは秋田から青森まで。それぞれが歩みよりデートを重ねました!

2013年11月14日

ほっかいどうの短歌100首その7

「人恋ひし遠山の雪ほのぼのと春の夕日に茜さす頃」函館市護国神社境内に歌碑がある。安部たつおに一首。
雪が残っている早春の山に陽があたる様子を詠んでおり、ほのぼのした感覚をいだきます。

2013年11月13日

ほっかいどうの短歌100首その6

新婚当初の5年間函館で横田は過ごしました。山の手に高名なハリスと教会がありました。教会=修道院の連想をして「山の手の町に日の暮れ鳴りひびくキリストの鐘仏教の鐘」ガンガン寺の名を思い出します。仏寺の梵鐘とキリスト教の鐘音がコラボして鳴る光景を武藤善夕が詠んでいます。

2013年11月12日

ほっかいどうの短歌100首1~4迄

フエイスブックの上で一日一首を記載して鑑賞宣言をしながら3日坊主のていたらく。ここのブログお休みしていたらコメント欄に自動的にスパムメールが届いておりその数、なななんと2年間で5万通を超えていました。化粧用品
食料・スポーツ用品・電器うんぬん幅ひろいメーカー商品案内に加え格安運賃の案内もあり、そうしたメールが自動的に毎日されており、記事へのコメントを読む以前の状態でした。コメント、トラックバックも含めて今までの項目すべてゼロにし、これから先投稿できない処置をとりました。◆さて、本題。ヒト首の世界。「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」石川啄木◆「浜菊を郁雨が引きて根に添ふる立待岬の岩陰の土」与謝野寛
◆「うず巻きて浜茄子をつつむ霧のかなたは光る日本海蛇行する川」杉本晃一の3首です。残り96首・・・・11月
13日◆「風凪ぎて潮のたゆたふ海遠くみちのく山は低く起き伏す」山内国治からふんどし締めなおします。

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