東京・川田順「天塩岳に雲沈み来る日のくれを北見の国の鉱山(かなやま)に居り」
はるばると、いま歌人は北見の鉱山に雲が沈んで棚引く天塩岳の夕暮れの中に居る

山形・村田豊雄「原生花園にひとりのわれを降ろし去り視野消ゆるまでバス一直線」
網走から北浜にいたる沿線の一直線に視界から完全に消えるまでく植物の群落が咲き見事で壮観でありはるばる
出かけてきた思いに感慨を覚える

札幌・中山周三「氷海(ひょうかい)をしりへに帰る丘のみち人見かけねば馬なりと出よ」
流氷が押し寄せている海を背後に歌人は家路につく丘の道には人影が見えず馬でも良いから出てきて欲しい心情
が伝わる一首です

東京・猪股泰(いのまたゆたか)「ポロ沼はこほりて雪を被れどポン沼いずこ汽車にすぎゆく」
オホーツク海に面したポロ沼は見事なまでに凍結し雪が降ると一寸先され距離感覚が消え、その中を走る汽車で旅する歌人の心境です

札幌・中山信「間宮林蔵渡樺の地にて見ゆるもの遠き浅瀬につづきゐる海」
宗谷岬から樺太を望んでいる間宮林蔵の心境が伝わる一首に先人の雄大な思い重ねます
樺太間岡町・石岡草次郎「何もかも忘れて海の一線に消えるロシアへまぶたを閉じる」
日本から今はロシア領土になっている樺太を詠んだ一首には脳裏を離れることの無い我がふるさとへの感慨ひとしきり。

山形生まれ・斉藤茂吉「さ夜なかと夜は過ぎつつ志文内(しぶんない)の山のうへ照らす月の影のさやけさ」
志文内で村医をしていた次兄・富太郎を訪問した茂吉が清らかに澄んでいる地の月を見ての感慨深さですね!
茂吉の兄・守谷富太郎「うつそみの業をいそしみ深山べにかそけくも我老いて行くべし」
志文内~ちちぶべつ~など僻地の医師として晩年、北見で開業した歌人の心境を覚えます

福島生まれ・木村隆「天塩なる中川の地に年々に集ひて人は茂吉を慕ふ」
斉藤茂吉を偲んで短歌フエスティバルを実施している天塩の中川町を舞台にした一首です。茂吉を追慕する短歌愛好家の思いが伝わります

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