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2008年3月17日
桐野夏生>「メタボラ」
★着の身着のままで、身を寄せる先すらない記憶をなくした若者ギンジと、宮古島出身で、親に放り込まれた強制訓練施設から脱走してきたアキンツの二人は、アジアの服を好み、ぺったりしたサンダルを好む自然派志向の女とルームシェアしていたコンビニの女性アルバイトのアパートに潜り込みます。★女2人のいざこざに巻き込まれ、ギンジとアキンツは、そこを出る羽目になり、、それぞれ住み込みバイトを始めます。簡易宿のスタッフ、ボラバイトスタッフ、ホストなどをしながら生きてゆく物語がすすみギンジの記憶取り戻し始めます。舞台となっている沖縄でのホットな一面と、対照的な薄寒い柏崎での偽装請負の工場で働く記憶がカットバックでつなぐ桐野夏生は、悲惨な労働環境の様子や、出身地域によって時給に違いがあるディティールを取り入れ、ちょっとした伝達の用紙にも消費者金融の広告が入っていたりする描写力に圧巻を覚えます。★特異なキャラ設定になってモデルと思しきメタボに出て来る自分探し系”の若者のカリスマとして、沖縄の孤島を自分たちの遊び場にしようとした計画の中身がばれ、島を追い出された(笑!)<高橋歩>と、路上詩人から環境NPOの主宰に転身した軌保博光こと<てんつくマン>ふたりの存在を読者への話題提示として挙げており、著者の真骨頂が伺えます。2人は伴にムードに流されない人物として〇か×を問いかけているように思われます。
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