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2007年8月27日
勝目梓<老醜の記>
◆59歳の小説家が、21歳の女性と恋におちます。それから13年。38歳下の愛人との恋愛は、奇妙な三角関係へと静かな変貌を遂げてゆきます。◆エロス&バイオレンスで一世を風靡した作家は、これも恋なのだろうかと、自問しながら、そこに倒錯的とも呼べる安らぎを覚えるようになる過程が、痛切です。◆横田がウオーキングのお供として小脇に抱えて読み終えた今、老作家の心情が、潔く美しい文章で綴られて感動を覚えます。◆72歳の小説家と34歳の女性をめぐる関係が、嫉妬も性愛も超えて、安らぎの境地へと至る心境に至る、70代にして初の純文学作品を上梓された人気作家、勝目梓さんの筆の冴えに脱帽でした。
◆主人公はセックスとバイオレンスを売り物にしている作家と銀座のホステスの恋物語といっても甘いものではなく、精神と肉体が軋(きし)みをあげつつ、二人が親しくなっていく話しを主題に置くと、同時に妻子ある別の男を介在させて、作家が嫉妬(しっと)と恥辱で苦しみぬく仕掛けも用意されています。
◆性愛とプラトニックな愛の葛藤(かっとう)がポイントである反面、愛情の安らぎと肉体の快楽は別という、観点から昔の同人仲間の人妻(六十二歳)も登場。老境に入りつつあるゆったりと濃密な情事を通して描いて“老いの生理の静穏”を見据えつつ性的執着が薄れていく過程に妹分や娘分にいつも恋心の横田納得です。微笑み
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