« 永 六輔「伝言」 | トップ | 音読は新書>永六輔「伝言」からの抜粋・・・・ »

2008年3月23日

札幌映画サークル広報紙原稿<お葬式>

51W18KFEZFL._AA240_.jpg2月16日に3男30歳、3月18日94歳の母親が死にました。続けての肉親との別れはショッキングですが、進行性の難病だった3男。二年半の入院で認知症と気管切開で声を失っていた母親の事を思うならば死を宣告されて安らかに逝って欲しいと願い悲しみとともに安堵の気持ちでもあります。すべてが終わって虚脱感と同時にホッと一息ついているのも事実です。札幌映画サークルの広報紙原稿、今月どうなさいますか?無理しないでくださいと、編集氏の問いを受けて、久方ぶり、家にあった映画「お葬式」のビデオ鑑賞しました。キネマ旬報ベスト1などその年の映画賞を独占した記憶のある映画「お葬式」は、俳優・伊丹十三が、脚本、監督を手掛けた記念すべき監督デビュー作です。3325082597.jpg3976582415.jpg妻・宮本信子・義父の葬儀を体験しその課程で繰り広げられる滑稽な出来事の数々に驚き、それを基にまさにエッセイのような映画を作り上げた傑作です。山崎努主演による映画において、ともに俳優のふたり井上侘助(山崎努)と、その妻・千鶴子(宮本信子)がCMを撮影中、千鶴子の父・雨宮真吉(奥村公延)が死んだと知らせが入って、ふたりは、マネージャーの里見(財津一郎)らとともに伊豆の病院へ向かい、千鶴子の母・きく江(菅井きん)を喪主に、通夜と葬式を執り行うことになります。通夜・葬儀を経験したばかりの横田にとって納得するエピソードが満載でした。死者への人間讃歌をかなでる演出手腕にお見事の声をかけてしまいます。ラストの菅井きんの挨拶のシーンは感動ものでした。それぞれつぼをわきまえたキャスティングも絶妙です。葬式なのにそこに集まる人々をコメディドラマを彷彿させて描き、葬式を出すのは初めての経験という視点からすると、我が家の場合老人福祉関連の介護福祉士として、生活困難なお爺さん、お婆さんや身寄りの無い老人の通夜・葬儀を仕切った経験豊富な次男。大手薬品会社に勤務して医者の接待を余儀なくされている長男の存在によって、喪主として初めてお葬式を出す私が途方にくれる姿をさらけ出さずに済みました。さらに喪主の私が出る幕無いのに等しい次男の義父が消防、義母が病院看護のベテランとあってキャスティングも万全でした。080320_1253~0001.jpg通夜のあと朝まで蝋燭の火を絶やさず70を超える従兄弟から参列した親類縁者の関係を聞きその伝言を家系図に長男はまとめ始めました。こちらも家族の絆を辿る意味で楽しみです。「お葬式は花や弁当まで決めなければならないわけでバタバタするもんなんだとの思いは葬儀屋さん仕出し屋さん枕経、通夜、葬儀、49日までの繰上げ法要のお経を唱えていただく坊さんの連携ぶりから人生の最後に駆けつけていただいたご縁を深く噛み締める貴重な体験です。映画のキャッチコピー=「10年間、じんわり笑えます」でした。人の死には何処と無く厳粛な出来事として捉えられ、生きてる人間の営みにはたくまざる笑いが伴ないます。一族郎党が結集した葬祭に3男の時は大阪から4才と1歳半の孫が参列し、母の葬儀では大阪からは来ませんが札幌にいる次男の娘小学4年生がけなげに振舞い大人の心を癒してくれました。映画ビデオ鑑賞終えて二人の肉親に改めて合掌して文責です。


このエントリーのトラックバックURL

http://yokota.mond.jp/mt-tb.cgi/1581

サイト内を検索

月別アーカイブ

カテゴリー

リンク集

このブログのフィードを取得

Powered by
Movable Type 3.37