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2007年10月13日
目覚めよと人魚は歌う
◆目覚めよと人魚は歌う、
<立ち読みコーナー>
最愛の恋人を亡くして現実の世界に居場所を見つけることができず現実から遊離した生活する糖子のもとに、同じように現実の世界から逃避してきたヒヨヒト&あなの二人連れが来る。糖子は、暴走族との乱闘事件に巻き込まれた日系ペルー人、ヒヨヒトが自分と同じように自分の居場所を見つけることができずにいることを感じ、自分と同類意識の中で自分をさらって逃げてくれることを望む。過去の世界に生きる糖子と、彼女を見つめているだけの共同生活者丸越。糖子と、言葉を交わそうともしない息子の密生。擬似家族の中に、行き交う言葉はなく、サルサのリズムに合わせて踊りあうことで、ヒヨヒト&あなも加えて一瞬、互いに濃く深く繋がりあう。但し糖子の世界は、多くの人々と関わりあわず、ただ一人の人物に固執し、他の何物も望まず、ひたすら夢の中に生きる。夢の中でのみ糖子は、相手と同化しひとつになることを願う。小説の目指す糖子の妖しい世界に引きずり込まれそうでいて、ヒヨヒトが彼女と同化しなかったのはなぜか・・・・逃げてばかりいてはだめだと問いかけ現実を受け入れていこうと決意します。自分の居場所を見つけようと動き出して、二人は、糖子の側から旅立ってしまい、糖子には、彼を呼び戻すすべはないと結んでいます。三島由紀夫賞作品だけに濃密でいて艶かしい鮮やかさを覚えました。
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